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empopo前史【バングラデシュ編Part3】:グラミン銀行のborrower(借り手)を訪ねて

こんばんは、empopo代表のyukiです。

今回は、グラミン銀行1週間インターンプログラムのハイライトである村訪問の様子をもう少し詳しく見ていくことにしよう。

村での滞在中にグラミン銀行から少額融資を受けている方々(borrower=借り手と呼ばれる)に会うことができた。

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前回のブログで、マイクロファイナンスを説明するときに紹介したこの女性もここで会った方である。

 

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このおじさん(といっても意外と見た目より若いかもしれないのだが)は、グラミン銀行からの融資で、お菓子売りビジネスをスタートさせた。グラミン銀行のスタッフが、「調子はどう?」的な感じで声をかけていた。そして、ぼくらにそのお菓子を買ってくれた。(揚げパンをさらに油っぽくした味だったという記憶ぐらいしかない・・・)

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このご夫婦は、借りたお金を元手に小さなお店を営んでいる。

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このお母さんは、借りたお金で牛を飼い(小ぶりな牛だと1頭5万円ほど※)、毎朝とれたてのミルクを市場で売りつつ、子牛を育てて、ある一定以上の大きさになったら子牛を売却して生計を立てている。グラミン銀行とのつきあいが27年にもなるという。

※資料:牛の値段
http://tabisora.com/travel/report2013/b01.html

長い時間をかけて、グラミン銀行は借り手との間に信頼関係を築いてきたんだなあと感じた。20年以上の付き合いの人たちに何人もあった。その関係を支えているのは、各村々に派遣されたグラミン銀行のスタッフだ。彼らが毎日のように借り手を訪問し、話を聞いている。日々接していれば、何か問題が発生したときにすぐ気づくことができるし、商売の相談にものってあげることができる。そうやって不払いのリスクを最小化しているのだ。

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(村のグラミン銀行支店のスタッフ)

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(くるみちゃんと腕相撲して遊ぶ村の子どもたち。これ、実はグラミン銀行の支店の中である!どれだけ村に溶け込んでいるかがうかがえる。)

ここで、通訳をつとめてくれたシャキールを紹介したいと思う。通訳は、実はグラミン銀行の社員ではない。プログラムがあるときにだけ雇われるアルバイトである。彼は、大学で会計学を専攻しすでに大学を卒業しているが、大卒だからといって定職を得られる保証などどこにもないのがバングラデシュの現実である。(その後、彼はSOS Children's Villages BangladeshというNGOに就職が決定した。めでたい、めでたい!)

彼の人柄をよく表すエピソードを一つ紹介しよう。

それは、村に住んでいる物乞いのおばあちゃんを訪ねたときのこと。都会より圧倒的に数は少ないが村にも物乞いがいることを知った(都市-農村格差だけでなく、農村内格差も存在する)。彼は、おばあちゃんの隣に座り、手を握って話をきいてあげていた。そうすることで相手はだいぶ安心しているようだった。自分が物乞いで、知らない外国人がやってきてあれやこれや聞かれたらどう思うだろうか(ぼくらは、物乞いの方を見世物だとは思っていないが、相手がどうとるかはわからない)と考えたとき、このシャキールのアプローチは、なんだか救われた気がした。

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(物乞いのおばあちゃんにカメラを向けることはなんとなく失礼にあたる気がしたので写真は残っていない。そのかわりに別の時のシャキールの写真を紹介しよう。彼が、子どもたちの目線にあわせて話している様子がよくわかる。)

このシャキールとはその後仲良くなり、彼の出身の村のために一つのプロジェクトを一緒に立ち上げることになるのだが、それは別の機会にお話ししようと思う。